スタートアップ支援のためのプラットフォームを構築し、ニッポンの働き方を、より自由で柔軟に

株式会社アドリブワークス

IPOへの道-アドリブワークス-山岡代表

IPOへの道では、神戸ファッションマートにIPOチャレンジオフィスとして入居されている企業様へのインタビューを通して、IPOへ取り組む姿勢や、神戸ファッションマートのIPOチャレンジオフィスの活用状況などについてご紹介していきます。

第5回となる今回は、株式会社アドリブワークスの山岡健人CEOにお話を伺いました。

愛媛県今治市出身の山岡CEOは、東京の大学に進学。就職活動をきっかけに、地元・愛媛に戻り、地元を盛り上げていきたいという思いと、東京で自分の可能性にチャレンジしたいという2つの思いの間で葛藤が生まれたといいます。

東京に残り社会人生活をスタートさせながらも、自由なキャリアを身に着けたいと模索を続ける中で、実は自分と同じような考えの人が多いことに気付き、地方での起業に大きなポテンシャルを見出します。

自分の好きな仕事を好きな場所でできる社会の実現が、地域過疎と高齢化問題の解決にもつながるとの信念を持ち、新規事業開発支援のビジネスに取り組んでおられます。

どのような事業を展開されていますか?

いわゆる起業支援事業です。一言で起業といっても、実は2つのパターンがあります。

1つは「創業」で、飲食店の開業などのように、過去に成功事例がある既存の事業を始める場合です。もう1つが「スタートアップ」で、今までになかった価値を生み出したり、新しい発想でビジネスを始めるパターンです。アドリブワークスが行っているのは、この2つのパターンのうち「スタートアップ」の支援になります。

創業支援に関しては、例えば、行政による補助金のサポート、ベンチャーキャピタルからの出資、アクセラレーションプログラムの提供など、十分とはいえないまでも、既にさまざまな支援方法が確立しています。それに比べると、スタートアップに対する支援は、未発達・未成熟な状態のままといえると思います。

ビジネスの新たなアイデアがあり、独立したいと考えている「スタートアップ予備軍」は、135万人以上と、かなりの人数にのぼります。それにも関わらず、国も行政もスタートアップをどのように支援してよいか分からないという状態です。まだ確立していないスタートアップに対する支援という切り口が、他社にはない、アドリブワークスのビジネスの独自性といえます。

具体的にどのような支援を行っていますか?

1人ではなかなか前に進まなくても、同じようにスタートアップを考えている人同士が集まり、ビジネスの価値を評価し合い、高めあっていくことができれば、前進していくことができます。そのために「triven(トリブン)」というWebプラットフォームを構築して、スタートアップを目指す135万人のマッチングシステムとして提供しています。trivenでは、できるだけ多くの人に、均一的なサービスを提供していくことを重視しています。

スタートアップを目指すために、まず取り組まなければならないこととして2つ挙げられます。

1つはビジネスの企画書を作ることです。アイデアの段階では大差がなくても、それを企画書として表現しようとした時に、実は大きな差が生まれてしまいます。ただ、私たちの経験上、スタートアップ時の企画書の書き方には、ある程度ルールが存在します。そこで、trivenの中で、項目を入力していくと自動的に企画書が出来上がるテンプレートを提供しています。

2つめに必要なのは、プレゼンテーションです。人前で自分の考えを話すという機会をできるだけ創出するために、毎週火曜日にtrivenの利用者に集まってもらい、メタバーズ上で起業に役立つ情報や補助金の情報などを交換し合う場を作っています。人に情報を伝える機会が多ければ多いほど、プレゼンテーション能力は身につきますので、スタートアップを成功させるスキルを高めるために利用していただいています。

また、trivenとは別になりますが、「NOROSI(ノロシ)」という官民連携のプラットフォームも構築しており、スタートアップとそれを応援したい人たちをつないでいくという仕組みも準備しています。

IPOへの道-アドリブワークス-triven

神戸市を創業の地とした理由は?

最終的にはIPOを目指していますので、trivenのサービスを全国に届けたいと考えています。その中で、東京に拠点を構えるという選択肢もありましたが、ちょうどビジネスの拠点をどこに置くか考えていた時、神戸市がコロナ対策のためのアイデアをベンチャー企業から募る「STOP COVID」というプロジェクトを行っていることを知りました。約2週間で発案から予算をつけ、実行にこぎつけたことが当時話題となっていて、Webメディアにも取り上げられていました。直感的にこのプロジェクトは面白いと思いtrivenでエントリーしたのが、神戸市との初めての関わりでした。

結局trivenはコロナ対策とは少し違うということで、プロジェクトに採択されることはなかったのですが、発想が面白いということで、イノベーションを創発するコミュニティスペース「アンカー神戸」のコミュニティをtriven内に作らせてもらうなど、神戸市との縁が深まっていきました。その流れで、スタートアップ補助の事業者として採択いただき、拠点を神戸に作るという流れになりました。

IPOへの道-アドリブワークス-神戸市との提携

IPOチャレンジオフィスをどのように知りましたか?

「ANCHOR KOBEベンチャーピッチ」でプレゼンテーションに登壇したことがきっかけで、神戸ファッションマートからさまざまなご案内を受け取るようになりました。そのため、IPOチャレンジオフィスの制度は理解していましたが、三ノ宮に拠点を構えたばかりだったこともあり、オフィス移転は頭にありませんでした。

その後、三ノ宮のオフィスで1年が経過し、固定費をできるだけ抑えたいと考えていた時に、再びIPOチャレンジオフィスの案内が届き、タイミングも良かったので、一度話を聞いてみようと思ったのがきっかけです。

神戸ファッションマートを訪問して館内を見て、IPOチャレンジオフィスについて説明していただいたのですが、その場で即入居を考えるぐらい、響くものがありました。

IPOチャレンジオフィスを活用されていかがですか?

家賃補助を受けていた三ノ宮の事務所と比較して、広さは約1.5倍、家賃は補助がある前提にはなりますが、約半額程度に抑えられていますので、まず、費用面でのメリットがとても大きいと感じています。

次に魅力的なのが発展性です。もちろんIPOを目指して成長を続けていく必要性はありますが、会社が成長して大きくなった時に、他の空いているブースへ館内移転できるというのは、大きなメリットだと思います。ベンチャーやスタートアップは、事業の形態・規模が変わっていく可能性が高いため、会社の成長に合わせてオフィスを柔軟に選択できるのは、非常に助かります。補助の期間も5年間と長く、その点でも、他のサポートよりも優れていると思います。

また、建物のグレードや美しさも大きなポイントでした。入居ブースは違いますが、OAフロアもありますし、共用部の清掃も1日2回と行き届いています。また、建物自体に高級感があります。

さらに、今後物販を取り扱う計画もあるため、物流拠点として使いやすい点にも注目しました。館内に運送会社が入居しており、各階のオフィスまで荷物の配達と集荷を行う「館内配送サービス」がありますので、物販を行う会社としては大変便利です。今、物販を取り扱う会社が多くなっていますので、非常に需要が高いのではないかと思います。

IPOを目指す課題と今後の取り組みについて

一番の課題はマーケットフィットにあると思っています。trivenを有料で使ってもらうサービスを増やし、サブスクリプションサービスを伸ばしていくことで成長が加速し、IPOへの段階が見えてくると思っていますが、そのためには、スタートアップの人たちが本当に使いたいと思えるサービスを追求していく必要があると感じています。

現在、全国のコワーキングスペースを自由に使えるパスポートやtrivenの会員を検索してリクルーティングできる採用支援サービスなどを有料で提供していますが、便利なサービスではあるものの、有料のメリットを感じる会員は一部に留まっています。

プレゼン資料作成代行やWeb制作サービス、専門家への相談窓口など、さまざまな新サービスを考えていますが、スタートアップ時に本当にニーズのあるサービスを打ち出せるかどうかが、今後のポイントになってくると思います。

IPOへの道-アドリブワークス-イベント


株式会社アドリブワークス 会社概要

社名 株式会社アドリブワークス
住所 【神戸事務所】
〒658-0032 兵庫県神戸市東灘区向洋町中6丁目9番地 神戸ファッションマート 8F
【愛媛事務所】
〒794-2305 愛媛県今治市伯方町木浦387-1
事業内容 Webサービス「triven(トリブン)」運営、新事業開発支援、共創プロダクト製造販売
設立 2018年3月
代表者 代表取締役 CEO 山岡 健人
TEL 078-891-3889
URL https://adlibworks.co.jp/
神戸ファッションマートIPOチャレンジオフィスお問い合わせ先

TEL:078-857-8001(平日9:00〜17:30)
http://www.kfm.or.jp/office/support/#ipo_challenge