無線の技術をもっと世の中に
大手にはできない視点で新たなビジネスを創出

株式会社ダイレクト・アール・エフ

代表取締役 戸谷 一幸

IPOへの道では、神戸ファッションマートにIPOチャレンジオフィスとして入居されている企業へのインタビューを通して、IPOへ取り組む姿勢や、神戸ファッションマートのIPOチャレンジオフィスの活用状況などについてご紹介していきます。

第2回目となる今回は、株式会社ダイレクト・アール・エフ代表取締役の戸谷一幸(とたに かずゆき)氏にお話を伺いました。

大手電機メーカーで培われた技術力や経験、また、人とのつながりを通して、大手が参入しにくい通信や放送の分野で、無線技術を使った新たなビジネスに挑戦したいと起業を決意されました。

自分自身の技術を思う存分活かすことができる製品づくりに取り組まれている現在、家電やドローンなど、私たちの身近な生活に直結するものから、小型衛星という宇宙に関するビジネスまで、多岐にわたる分野でその技術が注目されています。IPOをめざす中で、まだ見ぬ新しい製品開発やビジネスへのチャレンジが続いています。

なぜIPOを目指そうと思ったのか

私は、前職、前前職と大手電機メーカーに勤務していました。大手企業には、もちろん大手の良さがあるわけですが、私自身が持つ無線の技術は、主に通信や放送などの世界で活用される技術であり、国内では官庁主導のBtoBのビジネス分野です。そのため、無線技術の応用範囲が限定的になります。しかしながら、私自身は、無線の技術はもっと多方面で活かすことができる技術であると確信しておりましたので、もう少し小回りがきいて自由な発想で商品開発ができる環境を求めて、独立・起業するに至りました。

起業した当初から、ものづくりに関わるのであれば、自分が設計したものを世の中に送り出し、(1)社会に貢献したいという思い、(2)しっかりと雇用を創出できるビジネスに育てたいという思いがありました。その目標を達成するためには、銀行からの融資だけでは限界があると感じ、IPOを目指そうと決めました。

海外、特に米国では、ベンチャー企業が多い無線ビジネスの会社の中から、何千億、何兆という規模のビジネスを展開する会社も生まれています。残念ながら、日本にはまだそのような会社はありませんが、逆にそこにビジネスチャンスを感じ、夢をもって取り組むことにしました。

ドローンなどにも使われている無線の技術ドローンなどにも使われている無線の技術


事業の進捗状況は?

現在開業して5年目です。3年目までは仕事を取るために日本中を駆けずり回っていましたが、一昨年ぐらいから大手通信メーカーや通信サービス企業から大型の注文をいただけるようになりました。技術の活用分野もかなり広がってきており、通信放送分野に限らず、家電、ドローン、人工衛星など、今まで大手の無線機器メーカーが参入してこなかった分野でビジネスが拡大しつつあります。

電子レンジを例に挙げると、今まではマグネトロンという金属の塊でマイクロ波を発生させて食品を温めるという仕組みでしたが、これを半導体によってマイクロ波を発生させる方法に変えることで、より効率的にものが温められるようになります。これによって電子レンジの小型化やエコが進んだり、食品の味や風味を損なうことのない解凍なども可能になります。また具材によって温める温度を変えたり、調理ロボットにも応用できる技術で、このような使い方に関しても、実現に向けての道筋が見えつつあります。

さらに、超小型人工衛星を数十機打ち上げることで「宇宙スタジオ」を作ろうという「MEZAME(めざめ)プロジェクト」も進行中です。超小型衛星に搭載されている8Kカメラで地球や宇宙の姿を写し、リアルな宇宙の姿を見ることができる、大変夢のあるプロジェクトです。

もちろん、技術的に難しい面も多々あるのですが、現在は多くの会社にご協力いただき、共同でプロジェクトを進めているところです。

できれば、東京オリンピックが開催される2020年には打ち上げを行いたいと思っていますので、ぜひ期待していてください。

このように、ビジネス面ではいろいろな可能性が広がりつつあります。今期以降、さらにIPOに向けて技術開発の強化を行うのはもちろんですが、継続した受注に向けて、工場を整備し、量産体制を構築していく段階でもあると考えていますので、そちらも実現に向けて動いていくことになります。

半導体を活用することで、新商品を開発半導体を活用することで、新商品を開発


今抱えている課題

まずは資金面です。特に人工衛星の「MEZAMEプロジェクト」実現のためには資金が必要になりますが、そこはネット媒体を使い、スポンサーを募集しているところです。

資金面よりさらに重大な課題といえば、やはり人材の問題です。さらに売上が上がりますと、大変うれしいことではありますが、私一人では開発が追いつかなくなるのは目に見えています。営業面に関しては、現在一緒に動いてくれるスタッフも入社し、充実してきていますが、問題は技術スタッフです。

最初は、無線の技術を持った人を探していたのですが、現実的にはなかなか厳しいものがあります。そこで、現在は少し方向性を変えて、無線技術に興味があり、一緒にIPOを目指す志をもった、やる気と元気がある人を探しているところです。技術面は、私が指導することで、人材を育てていきたいと思います。やりがいと夢がある仕事であることは保証しますので、新しい商品を開発してみたい、IPOへのチャレンジを一緒に経験したいと思う方がいらっしゃれば、ぜひ仲間に加わっていただきたいと思っています。

「めざめプロジェクト」の核となる超小型人工衛星「めざめプロジェクト」の核となる超小型人工衛星


現時点で想定するIPO実現時期

今、5期目ですが、IPOの達成は第8期をめざしています。あと4年後になりますね。

IPOチャレンジオフィスの規程には、どこに上場するかは特に決まりがありませんので、あと4年後の第8期には必ずIPOを達成できるように、しっかりと目標を定めて、これから事業を展開していきたいと考えています。


IPOチャレンジオフィスの活用状況は

神戸ファッションマートのIPOチャレンジオフィスは、弊社の技術を評価いただいた会社様から、「IPOを目指すならこのようなオフィスがありますよ」ということでご紹介いただきました。最初は六甲アイランドと聞いて、正直少し不便ではないかと不安を感じましたが、実際に神戸ファッションマートに来てみると、駅から直結していますし、六甲ライナーと在来線が直結していますので不便と感じることがありませんでした。駅から雨の日でも、傘をささずに事務所まで来れます。何より、六甲ライナーの便数が多いので、お客様にも来社しやすいという感想をいただいています。

IPOを目指す上では、やはり会社の信頼が大切になります。その意味でも、神戸市管轄の施設であること、また、建物がしっかりしていて安全性が高く、館内も掃除が行き届き大変きれいなことなどが、ビジネス拠点を決める上で大きなポイントとなりました。

また、神戸ファッションマートの担当者も非常に親切で、いろいろなことに相談に乗ってもらえるので、大変助かっています。小さなことかもしれませんが、たくさんのオフィスが入居されているので、転居されるオフィスの家具を譲っていただいたり、合同で健康診断をしていただけるなど、ベンチャーからIPOを目指す会社にとっては、最適なオフィスだと感じています。


IPOを目指す今後の取り組みは

ぜひとも手がけたいものを一言で表すなら、Harmonized Communicationとうたっていますが、「アナログとデジタルが融合した次世代の無線システム」ということになります。言葉にすると難しく感じるかもしれませんが、一つの無線機であらゆる通信ができる「夢の無線機」の開発をめざしていくことが、会社の大きなテーマです。

大変乱暴な説明にはなりますが、無線機を一つ持っていれば、その無線機がテレビにも、ラジオにも、また携帯電話にもなるといった、まさに次世代の無線システムをイメージしていただければと思います。

このように、アナログとデジタルを融合することができれば、通信機器は格段に便利なものへと進化し、さらに社会で役立つものになると考えます。

そのためにも、まずは目標としているIPOを成し遂げ、その先に、時代を変えるような次世代システムの開発を、ぜひやり遂げたいと思います。

無線信号をダイレクトにデジタル化無線信号をダイレクトにデジタル化


株式会社ダイレクト・アール・エフ 会社概要

社名 株式会社ダイレクト・アール・エフ
住所 〒658-0032 兵庫県神戸市東灘区向洋町中6丁目9番地 神戸ファッションマート 6F
事業内容 高周波回路の設計開発事業
ソフトエア無線機の開発事業
創業 2013年11月
代表者 代表取締役 戸谷 一幸
TEL 078-414-8590
FAX 078-414-8595
URL http://www.directrf.co.jp/
神戸ファッションマートIPOチャレンジオフィスお問い合わせ先

TEL:078-857-8001(平日9:00〜17:30)
http://www.kfm.or.jp/office/support/#ipo_challenge